「ミツ(3)バチ(8)」の語呂合わせから、全日本ミツバチ協同組合と日本養蜂はちみつ協会が制定しました。 かつて日本で飼育されていた日本ミツバチは、蜂蜜の生産高が少なかったのですが、明治の初期に西洋ミツバチが入ってから生産と需要が拡大しました。ミツバチに関する昔話ミツバチのマーヤは、きょう、はじめて巣(す)の外へ飛びました。 しばらくいくと、すばらしいにおいのバラを見つけました。 そっと止まると、花びらの中からバラコガネが出てきました。「こんにちは」 バラコガネはマーヤが気にいって、バラのみつをおなかいっぱいごちそうしてくれました。 マーヤは一日じゅう飛び回って、その日はつりがねそうの花の中で眠りました。 つぎの日は雨でした。 羽がぬれてしまうので、マーヤが困っていると、「ぼくは平気だ。ぼくは、バラコガネの仲間。名まえはクルト」 得意そうにいいながら出てきた虫がありました。 ところがいったとたん、クルトはすべってひっくり返ってしまいました。「助けて、ぼくは背中が丸くて、ひとりでは起きられないんだ。起きられないと、死んでしまうんだ。助けて」 マーヤはなんとかして、クルトを助けようと思いました。 急いで、そばにはえていた長い葉の草をしならせるといいました。「さあ、この葉にしっかりとつかまって起きるんだよ、ほら」 マーヤは羽がびしょぬれになるのもかまわずに、クルトを助けました。 つぎの日は、すばらしいお天気でした。 マーヤは、長い足のバッタに会いました。 バッタのあいさつは、とても変わっていました。「ぼくは」と、いったとたんに、とんでいってしまって、あらっと思っていると、ピョーンともどってきて続きをいうのです。 つまりこうです。「ぼくは、『ピョーン』バッタさ。『ピョーン』きみは、『ピョーン』だれだい」 昼になりました。 おなかのすいたマーヤは、木イチゴの間を飛んでいました。 そのとき、なにかがフワリと肩にかかりました。「なんだろう?」 なんと、それはクモの糸でした。 マーヤはクモに、つかまってしまったのです。「もうだめ、さようなら、お日さま」 そのとき木の下を、あのクルトが通りかかりました。「マーヤじゃないか。元気かい? ・・・うん? あっ! クモの糸だな。よし、待ってろ!」 クルトは、マーヤがつるされている枝に急いで登ってくると、マーヤをしっかりかかえて飛びおりました。 クルトは、マーヤに助けてもらったことを忘れてなかったのです。「ありがとう、クルト」 夜になりました。 マーヤはすばらしい世界を見ました。 銀色に光る草の露から生まれる妖精(ようせい)です。 マーヤは夜の間、妖精と遊んで、ウキウキしながら古いムクドリの巣箱のそばへやってきました。 すると、「近寄るんじゃない。あれはスズメバチの城だよ。今、きみたちミツバチの国をおそう相談をしているんだよ」 ムカデが出てきていいました。「うわあ、大変!」 マーヤはミツバチの国に向かって飛びたちました。「女王さま、女王さま、スズメバチが攻めてきます」 マーヤはミツバチの国へもどるといいました。 さあ、グズグズしてはいられません。「みんなで、自分の場所を守るのです」 女王さまの命令で、兵隊バチが飛んでいきました。「入り口の壁(かべ)をしっかりふさぎなさい。あつく、しっかりとです」 戦いがはじまりました。 恐ろしいスズメバチは、つぎつぎとおそってきました。 けれど、マーヤの知らせのおかげで戦いのじゅんびが出来ていたので、たくさんの仲間がやられずに助かりました。「よくやりました。マーヤ、ありがとう」 戦いがすむと、女王さまはいいました。「でも、マーヤ。もう遊んでばかりいてはいけませんよ」 そうです。 たくさんのことを知ったマーヤは、みんなといっしょにミツバチの国のために仕事をしなくてはいけません。 マーヤはもう、りっぱな一人前のミツバチになったのです。
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