毎月27日は仏壇の日です。 全日本宗教用具協同組合が制定しました。 当初は3月27日のみでしたが、毎月に拡大されました。 「日本書紀」に書かれている685年3月27日の天武天皇の詔「諸国の家ごとに仏舎(ほとけのみや)をつくりて、すなわち仏像および経を置き、礼拝供養せよ」にちなんでいます。
仏壇に関する昔話
昔むかし、ある山の中に、ひとりのおばあさんが住んでいました。 おばあさんは、たいへん仏さまを大事にしていましたので、毎日毎晩、仏だんの前で手を合わせましたが、お経のことばを知りません。 あるとき、ひとりの坊さんがやってきていいました。「道に迷って困っています。どうか一晩泊めてください」「ああ、いいですとも」 おばあさんは、坊さんを親切にもてなしましたが、ふと、気がついていいました。「お願いです。どうか、お経のことばを教えてください」 ところが、この坊さんは、なまけ者で、お経のことばを知りませんでした。 でも、坊さんのくせにお経を知らないともいえないので、しかたなしに仏だんの前にすわると、なんといおうかと、考えました。 すると、目の前の壁の穴から、ねずみが一匹顔を出しました。 そこで坊さんは、「ねずみが一匹顔出したあー」と、お経の節をつけていいました。 すると今度は、二匹のねずみが穴から顔を出したので、「今度は、二匹顔出したあー」と、坊さんは、いいました。 さて、つぎになんといおうかなと、考えていると。 三匹のねずみが穴から顔を出して、こちらを見ています。 そこで坊さんは、「つぎには、三匹顔出したあー」 大きな声でいうと、三匹のねずみは、びっくりして穴から逃げ出しました。 そこで、「それから、みんな逃げ出したあー」 坊さんはそういって、ちーんと鐘を鳴らしていいました。「お経は、これでおしまいです。すこし変わったお経ですが、大変ありがたいお経です。毎日、今のようにいえばいいのです」 おばあさんは、すっかり喜んで、それから毎朝毎晩、「ねずみが一匹顔出したあー。今度は二匹顔出したあー。つぎには、三匹顔出したあー。それから、みんな逃げ出したあー」と、お経をあげました。 ある晩、三人のどろぼうが、こっそり、おばあさんの家に、しのびこみました。 ちょうど、おばあさんが、仏だんの前でお経をあげているときでした。「あの、ばあさん、なにをしているのかな」 ひとりのどろぼうが、おばあさんの後ろのしょうじから、そっと、顔を出すと、「ねずみが、一匹顔出したあー」 おばあさんが、大声でいいました。「あれっ、おれのことをいってるのかな」「なにを、ぶつぶつ、いってるんだい」 もうひとりのどろぼうが、顔を出すと、「今度は、二匹顔出したあー」 おばあさんが、また、大きな声でいいました。「やっぱり、おれたちのことを、いってるみたいだぞ」「どれどれ」 三人めのどろぼうが顔を出すと、「つぎには、三匹顔出したあー」 また、おばあさんの声がしました。「うへえっ、あのおばあさん、後ろに目がついているんだ。こわい、こわい」 三人のどろぼうは、びっくりして、あわてて逃げ出しました。 そんなことは知らないおばあさんは、また、「それから、みんな逃げ出したあー」と、大声でいうと、ちーんと鐘を鳴らして、仏だんに手を合わせました。
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