「ゴ(5)ム(6)」の語呂合わせから、ゴム製品のPRを目的に制定されました。
ゴムの木を植えてからゴム生産用の樹液(ラテックス)を採取するまでに5年くらいかかるといいます。
その後、ゴムの木は廃材として焼却されていますが、現在は再利用が進められています。
ゴムに関する昔話
むかしむかし、ピアンというはたらきもののお百姓がいました。
ピアンは小人のように小さかったですが、いっしょうけんめい畑しごとをしたので、ピアンのつくるやさいはおいしいと、みんなの評判でした。
ところが、ある朝のことです。
ピアンがカボチャ畑へいってみると、きのうまでみごとになっていたたくさんのカボチャが、さんざんにあらされています。
「ああ。だれが、こんなイタズラをしたんだ? 神さま。こんなイタズラをしたやつを、こらしめてください!」
ピアンは、神さまにたのみました。
そして家へかえってから、ふと、いいことを思いつきました。
「そうだ。カボチャ畑にかかしを立てて、イタズラをしにきたやつをおどしてやろう」
ピアンは、大きなかかしをつくりました。
でも、かかしだけでは、おどろかないかもしれません。
「こらしめのために、かかしに生ゴムをぬりつけてやろう。そうすれば、イタズラをしたやつは、かかしにぬった生ゴムがくっついて、はなれなくなるだろう」
ピアンはそう考えると、チューインガムのようにベタベタする生ゴムを、たっぷりとかかしにぬりつけました。
そして、そのかかしをカボチャ畑のまん中に立てました。
「はてな? あれはなんだろう?」
そのようすを見ていたのが、森の中から出てきたのは、イタズラもののサルです。
ふしぎそうにかかしを見ていましたが、だんだん、バカらしくなってきました。
かかしは人間のように着物をきていても、人形のようにジッとしていて、ピクリとも動かないからです。
「ようし。こうしてやれ」
イタズラもののサルは、ピシャンと、かかしを手でたたきました。
すると、生ゴムがベッタリと手について、はなれなくなりました。
「ええい、こんちくしょう」
サルは、かかしを足でけとばしました。
すると、足もかかしにひっついて、いよいよ動けなくなりました。
「あーん、あーん、あーん。たすけてくれえ。たすけてくれえ」
サルは、なきだしました。
それを、かくれていたピアンがつかまえました
「さあ、つかまえたぞ。イタズラザルめ。おまえがやったんだな!」
「キッキー。おゆるしください。ピアンさま。もう二度とイタズラはいたしません」
「ふん。そんなことで、だまされるもんか。きさまのようなやつは、こうしてやる」
ピアンは、サルをたたこうとしました。
でも、サルがあんまりあやまるので、心のやさしいピアンは、サルがかわいそうになりました。
「よし。もう二度としないというのなら、ゆるしてやろう」
「ありがとうございます。ピアンさま。お礼に、おっしゃることならなんでもいたします」
「ふん。大きなことをいうな。・・・でもそれなら、このわしを、お金持ちにしてみせられるか?」
ピアンは、からかっていったのですが、
「はい。おやすいご用です」
サルはそういうと、すぐ森の中へかえっていきました。
「おもしろいサルだ。このわしを金持ちにしてやるなんて」
ピアンは、サルのいうことなどあてにはしていませんでしたが、サルのほうは本気(ほんき)です。
森のおくのおくにある、鬼のお城まではしっていくと、
「た、た、たいへんだあー!」
と、さけびながら、お城の門の前で穴をほりはじめました。
「なんだ。サルめ。なにをあわてて、穴などほっておるのじゃ?」
鬼たちがききました。
「そんなのんきなことをいっているときではありませんよ。となりの国の兵隊が、百頭のゾウにのってせめてくるんですよ。だからふみつぶされないようにと、穴をほってかくれるつもりなのです」
サルが、でたらめをいったので、鬼のお城はたいへんなさわぎになりました。
みんな、おおあわてです。
「百頭も、ゾウにせめてこられてはたまらない。おれたちも、サルのように穴をほってかくれよう」
「いや、いまから穴などほってはまにあわん。それよりも、お城の井戸の中へかくれよう」
鬼たちは、みんなで井戸へとびこみました。
「よし。みんなとびこんだようだぞ」
サルは、いちばんさいごにとびこんだ鬼のあとから、いそいで重い石のふたを井戸にかぶせました。
「さあ、これでもう出られないぞ。ピアンさまをおむかえにいこう」
サルは、鬼のお城の倉(くら)から、きれいな大きな着物をだしました。
鬼のおかしらがきる、金色にピカピカと光る着物です。
「そうだ。ピアンさまにのっていただくゾウにも、かざりをしよう」
サルはゾウのからだを、うつくしい宝石をかざりました。
サルはそのゾウをつれて、ピアンのうちまでむかえにいきました。
「ピアンさま。ピアンさま。おやくそくしたとおり、ピアンさまをお金持ちにしてさしあげますよ。さあ、わたくしといっしょに、森のお城へおいでください」
ピアンは、どんなにおどろいたことでしょう。
「ではピアンさま。この着物をおめしください」
「こんな大きな着物はブカブカで、きられやしないよ」
でも、サルがその着物をピアンにきせるとどうでしょう。
ピアンのからだは、ふつうの人のように大きくなりました。
それは、魔法の着物だったのです。
「これはおどろいた。まるで夢でもみているようだ」
「いいえ、夢ではありません。ピアンさまのやさしい心がこうさせたのでございます。さあ、森のお城へまいりましょう」
ピアンは森のお城で、一生幸せにくらしました。