「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」という猫の鳴き声の語呂合わせということで、猫の日制定委員会が1987(昭和62)年に制定しました。 この日に決まったのはペットフード工業会が全国の愛猫家から公募した結果です。
ねこに関する昔話
むかしむかし、粉ひきが三人の息子を残して死んでしまいました。 粉ひきは貧乏でしたから、財産といったら水車小屋(すいしゃごや)と、ロバと、ネコが一匹だけです。 その中から、一番上の息子が水車小屋をもらい、二番目の息子がロバをもらい、三番目の息子がネコをもらいました。「あぁー。ネコなんてもらっても、なんの役にもたちやしない。お金もなしに、どうやって暮らしていけばいいのかなあ」 三番目の息子がグチをこぼすと、ネコがいいました。「ご主人さま。まあ、そういわないで。わたしに長ぐつを一足と、大きな袋を一つ作ってください。そうしたら、必ずお役に立ってみせますから」 三番目の息子はしかたなしに、いわれた物を作ってやりました。「わあ、すてき、すてき。ありがとう」 ネコはピカピカの長ぐつをはいて、大喜びです。 さっそく森へ出かけていくと、途中の畑でお百姓(ひゃくしょう)にもらったニンジンを入れた袋を木のそばへ置いて、ジッと、ようすをうかがっていました。 そこへ、なにも知らないウサギの一行がやってきて、袋の中へ、ピョン、ピョン、ピョン。「よしよし、この大量のウサギを見れば、王さまも大喜びされるにちがいない」 この国の王さまは、ウサギが大好物なのです。 ネコはウサギの入った袋をぶらさげて、王さまのお城へ出かけていきました。「王さま。このウサギは、わたくしの主人、カラバ公爵(こうしゃく)からの、おくり物でございます」「これはかたじけない。よしよし、これからお礼にでかけるから、そう、お伝えしてくれ」 それを聞いたネコは、急いで家ヘもどってきました。「ご主人さま、ご主人さま、川の中へ入って、おぼれるまねをするのです。さあ、早く、早く」 そういうと、ネコはありったけの声で、「たいへん! たいヘん! カラバ公爵さまがおぼれそうだ! おまけにドロボウに服を盗まれた! 助けてください! 助けてください!」 王さまは、それを聞いてビックリ。「それ、みんな。早く助けてさしあげろ。ついでに、公爵殿のおめしになる服をさがしてこい」 そのすきに、ネコは畑で働いているお百姓のところへ走っていくと、「おい、おまえたち、この畑はだれのものだ?」「はい、魔法使いさまの物です」「いや、ちがう。これはカラバ公爵の物だ。だれかに聞かれたら、この畑はカラバ公爵の物だというんだ。さもないと、お前たちを頭からガリガリかじってやるからな!」 ビックリしたお百姓は、「へい、申します、申します。ですから、わたしたちを食べないでください」 そこへ、王さまの馬車がやってきました。「これこれ、このあたりの畑は、どなたの持ち物じゃな?」「へい、カラバ公爵さまの畑でございます」「ほほう、公爵殿は、こんなに広い畑をお持ちじゃったのか」 王さまは、すっかり感心したようすです。 そのすきにネコが、またどんどん走っていくと、りっぱなお城がありました。「ははん、これが魔法使いのお城だな。よしよし、このお城をご主人さまの物にしてやろう」 ネコはすました顔で、お城の中へ入っていきました。「魔法使いさま、わたくしは、いだいなる魔法使いでいらっしゃる、あなたさまにお仕えしたくてやってまいりました。どうぞ、わたくしをあなたさまのけらいにしていただけないでしょうか?」「ほう。けらいになりたいのか。よし、いいだろう」「はっ、ありがとうございます。ところでいだいな魔法使いさま、うわさによると、あなたさまは、どんな物にでも姿を変えられるそうですが」「ふふん。見たいというのなら、見せてやる」 魔法使いは、パッとライオンの姿に早変わりです。「わあ、おどろいた! でも、さすがのあなたさまも、小さなネズミにだけは化けられないでしょうね」「なにをいうか。ネズミくらいは、朝めし前だ」 魔法使いはパッと、小さなネズミに変わってみせました。「それ、今だ!」 ネコはヒラリと飛びかかると、ネズミに化けた魔法使いを、パクッと飲みこんでしまいました。 ちょうどそこへやってきたのが、王さまの馬車です。 ネコは、うやうやしくおじぎをすると、「これはこれは、ようこそのお運びで。ここが主人のお城でございます」「なんと、公爵殿は、こんなりっぱなお城までお持ちじゃったのか」 感心した王さまは、公爵をお姫さまと結婚させることにしました。 こうして貧乏だった粉ひきの息子は、ネコのおかげで、すっかりしあわせになりました。
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