この日は「飛行機の日」ともいいます。 1903(明治36)年、アメリカ・ノースカロライナ州のキティーホークで、ウィルバーとオーヴィルバーのライト兄弟が動力飛行機の初飛行に成功しました。 4回の飛行を行い、最高記録は飛行時間59秒で飛行距離が256メートル、飛行機の名は「フライヤー1号」でした。
飛行に関する昔話
むかしむかし、インドのある王さまには、三人の王子がいました。 王子たちの名まえは、「フーセイン」、「アリ」、「アーメッド」です。 また王さまは、なくなった兄の娘の「ヌーロニハル」もかわいがって、いっしょにお城にすまわせていました。 さてある時、とてもこまったことがおこりました。「ヌーロニハルと結婚したいのです」と、王子たちが三人ともいい出したのです。 でも、三人と結婚するわけにはいきません。 王さまは、考えたすえにいいました。「では、この世で一番めずらしいものを見つけてきた者に、姫との結婚をゆるすとしよう」 そこで王子たちは、めずらしいものを探すためにべつべつに旅に出て、帰りに宿屋でおちあいました。「ほら、ぼくのめずらしいものはこれだぞ」 三人はとくいになって、手に入れたものを見せあいました。 フーセインは、自由に空をとべるじゅうたん。 アリは、どんな遠いところでも見えるぼうえんきょう。 アーメッドは、においをかぐと病気がなおるリンゴでした。 そして三人でぼうえんきょうをのぞくと、ヌーロニハルが病気で苦しんでいるのが見えたのです。「大変だ! すぐに帰らないと」 三人は空とぶじゅうたんにとびのって、お城ヘかけつけました。 そして魔法のリンゴのおかげで、ヌーロニハルはたちまち元気をとりもどしました。 王さまは大よろこびのあと、大よわりです。 三人の持ってきた三つの品はどれもめずらしいもので、どれもヌーロニハルを助けるのに役だったからです。 考えなおした王さまは、いいました。「矢を一番遠くまで飛ばしたものを、姫のむこにきめるとしよう」 そこで王子たちはならんで、矢をはなちました。 アーメッドの矢が一番飛んだのですが、飛びすぎてどこかへいって見つからないので、王さまは二番目に遠くまでとばしたアリをむこにきめました。「見つからないからだめだなんて、こんなくやしいことがあるもんか!」 アーメッドはがまんできずに、矢をさがしてどんどん歩いていきました。 矢は、山のふもとの岩の上におちていました。「おやっ? 岩にとびらがあるぞ」 アーメッドがとびらをあけると、そこには美しい姫がたっていました。「ようこそ、アーメッドさま。わたしはぺリパヌー姫ともうします」 アーメッドは、ひと目でぺリパヌー姫に心をひかれました。 やがて二人は結婚し、幸せな月日がすぎました。「いちど、父上にあいにいってこよう」 ひさしぶりにお城へかえったアーメッドを見て、王さまはたいそうよろこびました。「元気か? おまえがいなくなったあと、フーセインも空とぶじゅうたんで旅に出てしまい、さみしいかぎりだ。今はどこでくらしているのだ?」「それはいえません。そのかわり、わたしは月に一度、お城へ帰ってまいります」 これを聞きつけて、大臣がいいました。「王さま、アーメッドさまはヌーロニハル姫と結婚できなかったのをうらんで、今にせめてくるかもしれません」「そんな、ばかな」 王さまは、気にもとめませんでした。 でもある日、そっと魔法使いにアーメッドをさがさせますと、魔法使いが言いました。「王さまたいへんです! 王子さまはわたしよりずっと魔法の力がある姫と結婚して、宝石のかがやくお城にすんでいます」 王さまは、あわてました。「そんなにすごい魔法を使えるなら、この国をのっとることなどかんたんであろう。しかし、アーメッドがそんなことをするはずが・・・」 そこへ、大臣と魔法使いがいいました。「いいえ、王さま。アーメッドさまは必ずせめてきます。かわいそうですが、アーメッドさまに何かを失敗させて、それを理由に処刑(しょけい→死刑)しましょう」 つぎの月になり、アーメッドがきた時、王さまは大臣と魔法使いに教えられた、とんでもない注文を出しました。「わしの軍隊がぜんぶすっぽり入ってしまい、たためば手のひらにのるような、そんなテントをもってきてくれないか」 アーメッドはおどろいて自分の城ヘ帰り、それをぺリパヌー姫にはなしました。「お気のどくに。王さまはきっと、だれかにおどかされていらっしゃるのですね。・・・はい、これがそのテントです」 さすがは、力がある魔法使い。 姫はかんたんに、注文のテントをアーメッドにわたしたのです。 アーメッドはそれをもって、王さまのところヘいきました。 本当にテントの中に軍隊が入るのを見て、王さまのおどろいたことといったらありません。 王さまはまた、大臣と魔法使いに教えられた、むちゃなことをいいました。「ライオンの泉の水をくんできておくれ。あれを飲むと、長生きできるそうだから」 アーメッドは、ため息をつきました。 その泉にはおそろしいライオンがいて、近づく人間を食い殺すのです。 でも話を聞いたぺリパヌー姫は、アーメッドにいいました。「だいじょうぶですよ、アーメッド。ライオンにヒツジの肉をなげればいいのです」 アーメッドは、ライオンがヒツジの肉を食ベているあいだに、水をくむことができました。「アーメッドは、まったくふしぎな力をもっている。・・・だが、まさか、これはだめだろう」 王さまは大臣と魔法使いに教えられた、三回目の注文を出しました。「身長が一メートル、ひげの長さが十メートルあって、とても力持ちのじいさんをつれてきてくれ」「今度ばかりは、もうだめだ」 まえよりふかいため息をついたアーメッドに、ぺリパヌー姫はいいました。「ご心配なく、アーメッド」 そういったかと思うと、王さまののぞみどおりの人があらわれました。 おどろいたことに、それは姫のお兄さんのシャイパルだったのです。 アーメッド王子とシャイパルは、王さまのところへ急ぎました。 そして、 「大臣に魔法使い! 王さまをそそのかしてアーメッドを殺そうとした罪は重いぞ!」 シャイパルは鉄の棒をビュンビュンふりまわして、その風で大臣と魔法使いをまどの外にふきとばしました。 王さまは、ハッと顔をあげていいました。「悪かったアーメッド。ゆるしておくれ」 王さまが心からあやまると、アリもヌーロニハル姫もかけよってきて、心からアーメッドをむかえました。「それにしても、フーセインもはやくもどってくればいいのに。今ごろ空とぶじゅうたんで、どこをとんでいるんだろう?」 みんなはそういって、空を見あげました。 面影は少ないですが、ディズニーの「アラジン」にも、このお話しは取り入れられています。
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