1971(昭和46)年のこの日に、「廃棄物処理及び清掃に関する法律」いわゆる「廃棄物処理法」が施行されたことにちなんでいます。 この日から9月30日までは「環境衛生週間」で、廃棄物をできる限り減らして資源再利用に役立てることを目的にしています。
清掃に関する昔話
むかしむかしの、ある夏の日の事です。 村の佐助(さすけ)じいさんは用があって、旅の途中で宿(やど)に泊まりました。 ところが、この宿屋にはノミがたくさんいて、とてもねむることは出来ません。(やれやれ、帰りもまた、ここで泊まらにゃならんが、こんな事ではどうにもならん。何とかせにゃ) 次の朝、佐助じいさんは朝めしを食ベるとそうそうに旅仕度をして、店先にいた宿の女主人に言いました。「ばあさんや。お前さんの家では、なんとももったいない事をしとるのう」 するとおばあさんは、不思議そうにたずねました。「それはまた、何の事で?」「いや、ほかでもないが、わしの村ではな、薬屋がノミを買い集めておるわ。高値でのう。それなのにお前さんのところでは、こんなにノミがおるのに、なんでお売りなさらんのじゃ」「お客さま。ノミが薬になりますかいな?」「ああ、なるとも、なるとも」「いったい、何に効きますのじゃ?」「痛み、切りきず、ふき出もの、やけど、鼻づまり。何でも効くぞ」「それではお客さま。ぜひ、家のノミも買うてくだされまいか?」「ああ、いいともいいとも。わしは、あと三日たったら、またお前さんの所で泊めてもらうで、それまでに精を出して、たんと捕まえておきなされ。わしの村ヘ持っていって、売ってしんぜよう」 そういって、佐助じいさんは宿を出ました。 さて、それから三日後。 佐助じいさんがこの宿にきて泊まると、ノミは一匹もいません。 おばあさんがよほど精を出して取ったらしく、お陰で、ぐっすりとねむることが出来ました。 あくる朝、佐助じいさんが宿を出ようとすると、「旦那さま、旦那さま」「何か、ご用かね?」「あの・・・、ノミをたんまり捕まえておきましたで。ほれ、このとおり。どうぞ、これを売ってきてくだされ」と、紙袋を差し出しました。「どれどれ。おおっ、これはお見事。これだけの数を、よう、お取りなされた」 佐助じいさんは感心したようにいうと、袋をていねいに宿のおばあさんに返して、「この前、言うのを忘れておりましたが、ノミは二十匹ずつ、ちゃんと串にさしておいてくだされ。一串、二串と勘定せにゃ、とても数えられませんのでな。近いうちにまたきますで、串をこしらえて、ちゃんとさしておいてくだされ。頼みましたぞ。じゃあ、おおきに、お世話になりましたな」 そういうて佐助じいさんは、とっとと宿を出て行きました。 むろん、佐助じいさんがこの宿に来ることはありませんでしたが、ノミのいなくなったこの宿は、それからとても繁盛したそうです。
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